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昨日はゴミの収集日だったが、12時なってもまだ収集にきていなかった。 蔵田家のソラは部屋から窓ガラス越しに、今日はとりに来るのが遅いなあとゴミ置き場を眺めていると、真っ黒い大きな鳥が二羽飛んできた。 一羽が電柱に取り付けている監視カメラにとまった。もう一羽がゴミ袋めがけて急降下、次の瞬間、足で引っ掻いて破ったかと思うと、餌をあさるでもなく飛び立っていった。それを見届けて、監視カメラに止まっていた鳥も飛び立った。 ソラにとってはじめて見る光景であった。このことをノエ姉さんにいうと、その鳥はカラスで非常にずる賢い。本来、ソラの姿が見えていたらこんな行動はとらなかったろうが、このときは多分、窓ガラスに光線が反射して、ソラが見えなかったのではないかといっていた。 それにカラスの仕業はどうも餌が目的ではなく、あくまで猫の仕業に見せるように引っ掻き破っていると、ノエ姉さんはカラスの魂胆を推測した。 ![]() ポチッ、これがいちばん効くんです テーマ:ショートショート - ジャンル:小説・文学
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蔵田家のノエに心配していたことが起こった。 ノエの左手がヅキヅキ痛み出し、地に付くことが出来ない。 縄張りが重なりあう宿敵の猫がいて、よくいざこざがある。 その猫と二日前に半年ぶりの決闘をした。夜の11時ごろだった。30分の死闘であった。 ノエのほうから仕掛けることは今までに一度もない。だが、売られた喧嘩は買わないと、縄張りを放棄することになる。 この件は半年前に決着がついていたはずであったが、相手にとってはどうしても欲しいらしい。縄張り荒しにきた。 この喧嘩の際に頭の毛が束になって数箇所抜けた。やられたのは頭だけかと思っていたが、左手をどうもやられていたらしい。頭は毛が抜けたくらいでどうって事はない。 ノエがこれくらいの負傷だから、相手は相当ダメージを受けていると思う。手応えがあったのは相手の左の二の腕を渾身の力ををこめて噛んだ。一度ならず、二度やった。これで相手の戦闘力が格段に下がったのを感じた。これで勝負有りと確信した。 相手はノエより一回り大きく、年は定かではないが、若いのは確かである。これまで、ノエは自慢のフットワークで勝ってきた。それにしても往年のフットワークに陰りが出てきた感はいがめない。それもそのはずだ、今月の誕生日で10才になった。人間にしてみれば、50才半ばの歳になる。 蔵田家で一緒に住んでいるソラは屋外には一歩も出ないから、後継者にはなれない。いつまでこの縄張りを守れるかノエにとっては心配の種である。 ![]() ポチッ、これがいちばん効くんです テーマ:ショートショート - ジャンル:小説・文学
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はじめまして、ネオン街のタマ、通称オカマのタマっていわれていますのよ。よろしくネ。 皆様、飲みにいかれてますぅ?都会は景気が良いらしいけど、タマが住んでる地方都市はそうでもないらしいのよ。 よくママさん同士で 「店が暇で困っているのよ。ママさん処はどう?」 「うちも同じ、いつ店を閉めようかと思っているわ」 なんて会話を耳にするのよ。 この前なんかもあるママが社長さんに 「月末の支払いに困っているの。社長、何とかできない?」 なんて懇願していた。そのママを見るとざまなババァだったけど…… 一方、流行っている店は流行っているらしいのよ。だから、流行っている店と暇な店と両極端らしいわね。俗に勝ち組み、負け組みっていうの?企業努力といえばそれまでだけど…… それにしてもお店が多すぎ、昔と違って今は内装備品付きの貸しスナックがあるから、小資本ですぐに開店できるらしいのよ。だから最近はパトロンなんて言葉を聞かないもんね。 ネオン街もご多分に漏れず淘汰の時代になってきたんでしょうかネ。 タマは猫でよかたわ。それじゃ〜、またね。 ![]() ポチッ、これがいちばん効くんです テーマ:ショートショート - ジャンル:小説・文学
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今夜はこの居酒屋にお客がどんどん入って行く。珍しいこともあるもんじゃ。 そういえば今日は金曜日か、昔はよく花の金曜日といったもんじゃが…… 店内がにぎやかになってきたと、居酒屋のクロは独りごちた。 店のテレビで篭城していた男が29時間ぶりに捕まったニュースをやっている。 お客A「警察もこんなに時間をかけるようでは話にならん」 お客B「警官が銃撃されて倒れているのに、5時間も救出出来ないのは常識では考えられん」 お客A「そう、助かったとはいえ、理解できん」 お客B「SATがきているのに、何もしない。呼んだ意味がない」 お客A「SATというのは、テロ事件や強力な銃器を用いた事件に出動し、急襲して犯人を制圧することを目的として編成された特殊急襲部隊だろう?」 お客B「相当厳しい訓練はしているようだけど、実戦で何もしないんじゃ、絵に描いた餅同然」 お客A「警察はあくまで説得策に徹したというわけか」 お客B「撃たれた警官の救出に5時間も掛けるのではなく、警官が撃たれた時点で一刻も早く急襲作戦をとるべき、一歩譲って、5時間後に撃たれた警官の救出の際にSATの隊員が撃たれて死亡した。この時点では絶対急襲しなければ……、一連の流れをみていて、警察は完全に腰が引けていた」 お酒が入って話が盛り上がっている。人質(犯人の元妻)は犯人が電話中にトイレに行くといって、トイレの窓から脱出、無事保護された。その5時間後に犯人は両手にペットボトルとビニール袋を持って投降してきた。その時の警察は犯人に向かって「完全に保護するから両手を高く上げなさい」と拡声器で呼びかける。そして取押さえる。殺人犯をこれほど大事にしなければならないのかね。 居酒屋のクロだと爪の一掻きと小便くらいは掛ける。それでも気はおさまらないが。 そこで犯人の心境はどうだったか、居酒屋のクロの猫の超能力で見てみる。――俺は精神不安定だった。警官が大勢きた時はピークに達した。殺されると思ったので、俺も必死で発砲した。テレビで外の状況はある程度わかった。SATがきたというのもテレビで知った。SATが踏み込んでくるのを恐れ、警官には玉は100発もっている。来ると撃ちまくるといった。SATが負傷して倒れている警官の救助をはじめたとテレビで流れたので、その時は、いよいよ踏み込まれるかと思い、必死で撃った。その時に撃った警官が後で死んだのもテレビで知った。だがこの時にSATが踏み込んでこなかったのが以外だった。俺は女房(人質)を殺す気は全然なかった。第一ことの発端は女房との復縁が目的だった。正直いうと後半は俺も精神的に大分落ち着いてきていた。だから女房にトイレから脱出された。 女房が脱出したというのはテレビで知った。このときは慌てた。今度こそSATが踏み込んでくると覚悟した。それを防ぐため俺は必死で警官と駆け引きした。テレビの報道が俺には非常に役に立った―― ![]() ポチッ、これがいちばん効くんです テーマ:自作連載小説 - ジャンル:小説・文学
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